「主観⇒客観」であって「客観⇒主観」ではない(デカルト)


昨年来、哲学に少しはまっている私、ありがたい巡りあわせで桐田さんという哲学徒から個別指導を受けています。

少し前に全体像の話をしましたが、近代哲学の「デカルト、カント、ヘーゲルがむつかしすぎる」「ここは踏んでおくべきコアなのにわからん」と嘆きましたら、ではそこをということになりました。

「哲学マップ」のデカルトの項をオンラインで読みながら、逐次解説をいただくというなんとも贅沢なレッスンです。

コギト・エルゴ・スム誕生まで

  • 天動説の否定 → 他の神学ベースの知識もReally?→「なにも信じられない」状態
  • 「不可疑な(疑いの余地がない)ものはなにか?」を突き詰めにかかる。
    • 方法的懐疑:「可疑的な(疑いの余地がある)もの」を徹底排除 → 「あらゆるもの=感覚+知識」は可疑的である。私自身ですら疑わしい
    • 疑っている間だけは「私は疑うものとして存在する」ことだけは不可疑である⇒「われ思う、ゆえに(考えるものとして)われあり
  • 唯一不可疑な「考えるものとしてのわれ」を基盤として、他のものを確かめに行く(Foundationalism)
    • 明証的に(=エビデンス)しりうることのみ、存在するとする
    • 私に見えるものは「神の存在+神の誠実」によって存在する

ざっくり申し上げますと、デカルトさんの作業の流れとしてはこんなイメージですかね。かなり雑ですね。笑

  1. 何も信じられないから、いったん疑いの余地のあるものをどんどん削ることにした。
  2. 全てが削られて最後に残ったのは「疑っている自分」。これを唯一のよりどころにしよう。~有名な「われ思う…」は作業途上のおまけみたいなものですね。
  3. そこ(=疑うわれ)から巻き返しをする。「神」を盾にこれもあれも存在するとした。この部分が裏技っぽい。笑。あと、エビデンスって証拠とか言っていますが、ここから来ているのですね。
  4. で、とにもかくにも、次にあげる「主観・客観」図式を作り上げた(=ここが目的、①~③は手段)

徹底的主観主義:主観があって客観がある。

見えている世界は「徹底的主観主義」で、われにとってのものとしてのみ存在します。そして、われ(自我)だけがその外にぽっかり浮いている感じ。

  • 主観・客観の図式
    • Sub(下に)+Jectum(置いたもの):われを基底とする=主観
    • Ob(~に対して)+Jectum:主観に対する対象=客観
  • この発想の利点:誰に対しても成立する。科学としてはこれがとても大切。
  • この発想の難点:われはどこに位置づけられるのか?直観とずれる。

私は世の中というものは「客観的な事実」があって、自分なりの味付けとしての「主観」があるのかなと思っていました。

が、デカルトさんによると「主観があって、そこに映るもの(客観)は違うでしょうから、明証的にすり合わせましょう」ということのようです。入口からして、主観・客観への理解が違っていました。「ものの見方ってもっと自由でいいんだぁ(というか、今までのは何だったんだ)笑」と思いました。衝撃!

あなたは、どう思っていましたか。

心身二元論 ⇒ 人間機械論

デカルトは、数学者でもあったそうです。解析幾何学の分野を確立したそうで、x軸y軸の座標も彼の発明らしい。あの数学の問題はあなたのせいなのね。

  • デカルトの「わたし」:思考することが本質(かつ、思考をやめると存在も消える)
  • 幾何学主義:「嵩(カサ)を持つもの(extension)」=物体 ~ 身体も物体
  • 人間機械論:人間も機会と同じである

以下は結構興味深い文章なので抜粋します。

(人間の身体を機械と同列におくと)考えることによって、社会秩序が維持されるように各人を調整し、形成しうるという思想が導かれる。実際、フランス革命前後の社会思想家は、人間機械論をもとに監獄や処刑、また、学校教育にかかわる制度を考案したのである。(貫成人「哲学マップ」p61)

おいおいおい、聞き捨てならんなあ~(笑)

でも、当時の最新の知見だったわけですし、制度設計考案時に取り入れたというのは十分な確からしさをもっている。

一理あるかもしれない。一ここは意識しておいたほうがいい。

 

それにしても、デカルトさんにはびっくりです。われ思う、だけではなく、エビデンス、主観客観、身体二元論、数Iの問題、人間機械論まで!

ミナミのおっさんならこう突っ込みます

「ワレ、思いすぎちゃうか!」笑

 

少しでも参考になればハッピーです!

 

<堺谷武志の略歴>

大阪出身、京都大学工学部、南カリフォルニア大学MBA、三菱UFJ銀行(海外駐在やアジア戦略担当)を経て独立。2006年インターナショナルな環境で人と自然にふれあうプリスクール「キッズアイランド」設立。保育士。一女の父。週末登山家。

2019年教育起業家とともにNPO法人ソダチバ・プロジェクトを設立し、代表理事に就任。幼稚園でもインターでもない第三の選択肢「HILLOCK Kinder School」を設立。将来は「ヒロック・オルタナティブ小学校」を設立たいなぁと活動中です。
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