マイ・ブッカバ・チャレンジ⑥~サル化する人間社会


【マイ・ブッカバ・チャレンジ⑥~サル化する人間社会】
この本は、人間のはるか遠い親戚からのわたしたちへの贈り物です。

(1)人間を特徴づけるもの
・人類は進化の大半を言語を持たずに歩んできた。あるとき、これまでにない複雑なコミュニケーションを仲間内でとる必要がでてきた。それは…
・肉食獣からよく襲われていた人類は、子どもを一人でも多く生き残らせるために、多産の道を選んだ。ほかの類人猿とは異なる人間らしい特徴。
・目は本来急所で隠したい部分なので、ほかの霊長類には白目がありません。言葉を生み出す前には瞳を重要なコミュニケーションの道具として利用していたはず。
・家族は人間性の要ともいえる部分。それは「食事をともにするものたち」と定義できる。などなど、他にも睾丸のサイズと進化、脳のサイズと言語の関係、ゴリラの遊び、など面白くてためになる話が満載です。

それにしても、人類の生き残り作戦が多産化とは。あの「鮭とかが卵いっぱい生む作戦と一緒?」とびっくりしました。天敵もなく、衛生管理で死亡率の下がった現在、「もしかしたら少子化は新たな進化なのか?」とか思ったりもして。

(2)もう一つの本書の頼みしみ方
・著者は、ゴリラとともに住み、糞を洗っては食べ物を調べ、生態研究をしていたわけです。
・その源流には、「霊長類研究」という学問領域があって当初はかなり日本固有のものとして発展したようです。
・というのも、西洋人は人間以外の動物との間に一線を引く(哲学もこの文脈で読まないといけないと再認識)ので、動物と分け隔てなく考えて研究する方法が思いつかなかったとか。
・彼らの常識をくつがえす「ジャパニーズ・メソッド」を生み出してこの分野をリードしたそうです。
・創始者の今西錦司をはじめ、河合雅雄(河合隼雄の兄)、そしてゴリラから大学の総長にのぼりつめた著者山極寿一に連なる「自由な変人たち」が世界を切り開いたと言えます。

そういえば日本人にはクラゲを家族総出で取り続けてノーベル賞を受賞した人もいました。
進歩は何も学問だけではない。社会の様々な発展に寄与するには「変人」が必要で、そのゆりかごである「自由」はやはり大切だということですね。

本書に話を戻しますと…
この本の主題は、帯の一文にもあるように『ゴリラ社会には「勝ち負け」がない、一方、サルは「優劣重視」の社会である。人間社会はどちらに向かうのか?』です。
序列化、自己責任、個別化など、今の人間は「サル化」してきていないか?
人間とは何か、今一度立ち止まって考えてみないか、と問いかけてきす。

ここに示された「人間性、コミュニケーション、家族、社会、SNS時代のあり方」など人類の普遍的な特徴は、これからの時代をよく生き、社会を改善するヒントにきっとなるはずです。

今の時代は、新しいことが増え、物事がとても複雑になり、それらが加速する時代です。もっと加速するでしょうから、生き抜くには反射神経が必要です。
変化への対応力は現人類の得意技ですので、心配無用かもしれません。
でも、反射神経や変化対応だけだと疲れてしまいそう。

懐古主義ではなく、たまに「あれっ、人間ってなんだっけ」みたいな感覚でお隣さん(ゴリラやチンパンジー)に目を向けてみるのも面白いかなと思います。

動物園に足を伸ばしてじぃっと時間をかけてみていると、おりの向こうとは言え、すんごいのんびり生きているのに気づきます。おりのこっち側だけどあくせく生きている私。
ふと目が合う。あっ、こっちが観察されちゃってる。
私は心の中で「何の因果かそっちとこっちに分かれちゃったけど、まあお互い頑張ろうぜ」なんて会話を交わしています。

 

少しでも参考になればハッピーです!

<堺谷武志の略歴>

大阪出身、京都大学工学部、南カリフォルニア大学MBA、三菱UFJ銀行(海外駐在やアジア戦略担当)を経て独立。2006年インターナショナルな環境で人と自然にふれあうプリスクール「キッズアイランド」設立。保育士。一女の父。週末登山家。

2019年教育起業家とともにNPO法人ソダチバ・プロジェクトを設立し、代表理事に就任。幼稚園でもインターでもない第三の選択肢「HILLOCK Kinder School」を設立。将来は「ヒロック・オルタナティブ小学校」を設立たいなぁと活動中です。
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