マイ・ブッカバ・チャレンジ⑤自由論 JSミル


【マイ・ブッカバ・チャレンジ⑤】
昔から「自由」という言葉に取りつかれています。私の場合「よけいなことをごちゃごちゃ言われたくない(≒なぜあなたにはそんなに偉そうにする権利があるのかw)」という幼稚さから多分始まっています。

ジェームス・S・ミルの「自由論」の主な論点です。
<自由の原則>
・ほかの人間の行動の自由への干渉が正当化されるのは自衛に限られる
・自分の身体と精神にたいしては、個人が最高の主権者である
・他の人々の利益を損なうなら、社会または法による制裁を受ける
・適用されるのは大人であり、子どもには保護が必要である

<多様性と言論の自由>
・人間の判断力の真価は、判断を間違えたとき改めることができるという一点にある
・進歩は真理が積み重なるものであり、それは多様な意見から生み出される
・その時たまたま少数意見となっても封じ込めるべきではない

<個性>
・自由を行使する人から何かが学べる。独創性は人間社会において貴重な要素である。
・一部の天才が提案し、大勢が賛成することで社会は改善されていく。天才は少数であるが、自由の雰囲気の中でしか呼吸ができない。かれらははるかに個性的である。ただしこれは英雄崇拝(強者が力づくで統治する)ではない。
・社会に変わった人がいるか。現在、あえて変わった人になろうとする者がきわめて少ないことこそ、この時代のもっとも危うい点なのである。

<教育>
・国家は子どもへの教育を義務付けるべきである。
・国が教育全体を管理することは、国民のすべてを一つお鋳型にはめようとする企てにほかならない。ひとつの模範的存在という目的ならそのかぎりにおいてのみ許されるだろう。
・国営の教育施設で教えられるほどの人が国内にたくさんいるのであれば、自主性の原理に基づいて同じくらい質の高い教育を自分たちで提供できるはずである。

といった濃い論点が、たった300ページの薄い文庫本で網羅されている。

ミルの述べる自由はあまりに無邪気で、「現実はそんなにうまくはいかない」ことも残念ながら事実でしょう。世の中は複雑ですから。
ですが、自由とそれに連なる価値観、つまり、権利、義務、判断力、多様性、個性、教育は現代の課題解決へのヒントにもなりそうです。

その中でも「自由の追求は社会の実利につながる」というアプローチに興味がわきます。

例えば、大企業の研究開発や新規事業、小規模での起業など、経済の活性化も「自由→個性→独創性」の文脈で語れますし、ハラスメントや同調圧力の問題も「自由→多様性→少数派の尊重」に解決の糸口があるかもしれません。

こんな大切な自由ですが、日本では憲法でせっかく「様々な自由」や「民主」が保障されているのに、日々の暮らしではそれらを感じにくい社会のような気がしてなりません。政治不信、損得への執着、他人へのやっかみや干渉、これらはどこの国にもあるでしょうが、少し窮屈な気がします。枠組みはあるのにもったいない。

私見ですが、日本人にとって「自由」は戦って勝ち取ったものではなく、敗戦によって降ってきたので、うまく使いこなせていないのかなと思います。「真の自由」は代償を求めます、なので、改めて戦って勝ち取る必要がある。そんな風に思います。

でも、ここでの戦い方は、戦争や内紛ではなく、身近な場面での小さな闘いを積み重ねること。
例えば、人への干渉や人からの干渉にはそれが過剰なものであれば、勇気をもって「おかしいよね」と声を上げ、話し合うことかもしれません。同時に「だったらどうしたらいいのか」となって、そこから責任や知恵が生まれます。真の自由は気ままを許しません。

自分の身を守りながらでいいと思います。ヤクザを見かける度に突っ込んでいったら身が持たない。笑。
自由を声高に主張できない経済的・社会的に弱い立場の人もいます。理想ばかりは言っていられないし、それに闘わないのも自由ですし、力をつけてから闘うのも実践的な対応です。

大けがをしないように、でも、できる範囲で着実にやっていきたい。少しずつ自由を使えるようにトレーニングしていくイメージです。だから、これは明るくポジティブな闘いです。
自由は使いこなすのがとても難しいのでトレーニングが必要で、難しいだけに子どもの頃からやった方がいい。

そのトレーニングの部分こそ教育が担うべき大切な部分だと思います。
それにはまず、大人が自由に向けて勇気や責任感、知恵について考え、行動すること。子どもにそれを示すこと、彼らの自由獲得をサポートをすることです。

「教育に自由を!」

PS:自由各論
① 福沢諭吉
彼はミルの自由論を読んだのではと推察しています。似た文章を見たことがあります。たしか、以下のような話でした。
・西洋では、一人ひとりが自分の意見をぶつけ合ってよいものを作っていく。
・日本では、一部の人間がものを決めて、庶民は卑屈に従うだけだ。これでは勝てるわけがない。
・社会は自他の権利を共に尊重するものである。だから「独立自尊」が重要だ。
・教育とは、(教え込むのではなく)独立自尊の人が育つためのものである。
私にはとてもすっきりとハラにおちます。逆に、日本は明治からどれだけ進歩したのか。

② 本書で最も感銘を受けた一文
「人間の判断力の真価は、判断を間違えたとき改めることができるという一点にある」
素晴らしい言葉だと心から思います。
私も妻から指摘を受けるたび、すぐに判断を改めて、かつ謝るようにしています。怒られることが減ったうえに、自分の判断力に磨きをかけられる日々を送っています。まあ、完ぺきとは言えませんが…
ええ、もちろん冗談です。告げ口厳禁、そこに自由はありません。

以上ですが、あぁ、だんだん長くなります~、すみません。あと2冊です。お付き合いください。

 

 

少しでも参考になればハッピーです!

 

<堺谷武志の略歴>

大阪出身、京都大学工学部、南カリフォルニア大学MBA、三菱UFJ銀行(海外駐在やアジア戦略担当)を経て独立。2006年インターナショナルな環境で人と自然にふれあうプリスクール「キッズアイランド」設立。保育士。一女の父。週末登山家。

2019年教育起業家とともにNPO法人ソダチバ・プロジェクトを設立し、代表理事に就任。幼稚園でもインターでもない第三の選択肢「HILLOCK Kinder School」を設立。将来は「ヒロック・オルタナティブ小学校」を設立たいなぁと活動中です。
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