「ルール/価値観・マナー・損得」について


先日、HILLOCKキンダーのスタッフと「クラス・ルール」について話をしました。

クラス・ルールは、ほぼ毎日朝の時点でみんなでシェアしているものです。

 

私が共有したかった考え方は、

ルールとそれ以外の価値観、マナー、損得を分けて扱いたい。そして、ルールはできるだけ少なく。

と思っているけど、どう思う?というものでした。

 

ルールが多くなるのはなぜ?(ずるいという言葉)

学校に限らず、日本の組織ってルール多くないですか?笑

暗黙の了解レベルまで入れると本当にたくさんある。

小学校教員の友人も、すぐルールを作りたがる。

「やらないといけないルール」「やらないといけないルール」がいっぱいで余白がゼロ!と嘆いています。

 

その時に話しをしたのが

ルールが増える理由の一つが「ずるい」という言葉ではないか

ということです。

ずるい、不公平だという声があがると日本人は弱いですね。心が清くありたいからでしょうか?

 

ただ、この「ずるい」の中身が、英語のUnfair(不公正)というより「自分だけ損している」もっと言えば「他の人が得をした」ことへの不平だったりする気がします。

自分と周りの比較での損得に過敏。これは今の社会の価値観を反映しているのでしょうか。

多くのルールは、本来のルールではない?

学校のいわゆる「ルール」には、私の知る限り「これってルール?」というものもたくさん含まれるように思います。

例えば「あいさつをしましょう」「人の話は黙って聞きましょう」とかってルールですか?

 

どうも今回のコロナでも、大人も「法と自粛」の切り分けが不明確なようで…

情緒的に責められるケースが多いように思われます。

「手越だけずるい」みたいな。笑

 

あるいは、子どもを交通事故死させたことより、極小リスクの湘南でサーフィンが大きく取り上げられるみたいな。

「自粛のやぶり」の方が「業務上過失致死」という犯罪より大きいの?

 

 

学校等におけるルールも、少し整理の余地があるのではないでしょうか。例えば以下のような感じ。

『ルール(狭義)』:事前提示の上、絶対に守らないといけないこと。法律に近いもので守られない場合は一定の抑圧もありうる。古典的な約束「殺さない・傷つけない」「盗らない」「姦淫しない」等に準じるもの

『価値観』:大切にしたい考え方。そうありたいよねということは積極的に共有。ただし、絶対的に押し付けられるべきものではない。「人に親切に」「あきらめない気持ち」など。

『マナー』や『損得』:お互いが気持ちよくすごすための行動様式や生きていくための便利な知恵。こうした方がいいよ、それやると損するよ、といった本来的にはアドバイス的なもの。価値観から派生する行動様式が多い。中には「先輩は絶対」など変なものも多い。

そもそも、ルールって「参画による策定」「事前提示」が原則のはずだし、なんでもかんでも「はいルール、守りましょう」という思考停止に入るのではなく、内容の「重みの差」にもう少し敏感になった方がいいと思います。

なんでもルール化した上で、さらにダメ押しなのがこれです。

「ルールだから守りましょう」ルール。

これでは何も言えなくなります。

派生としては「みんな守っているから」「ルールは絶対」「ルールには意味があるんだから」「ルールは変えられないでしょ」といった突っ込みどころ満載の定型文がたくさんあります。

価値観は多様で相対的である。だから自分の考えや話し合いが大切。

特に海外なんか行って強烈に感じるのは、自分の視野の狭さというか、考え方は国や環境によって大きく異なることに気づきます。

法律は似ていることが多いですけどね。

 

例えば、日本の会議で発言すると「蒸し返すなよ」と煙たがられるのですが、アメリカでミーティングの場で発言をしないと「無価値」と思われます。昔「禁煙部屋の灰皿のようなもの(そこにあるだけで何の役にもたたない)」というギャグもありました。

 

そう、価値観は多様なんです。そして、相対的。時代によっても場所によっても「正しさ」や「べき(Must)」は異なります。

いくら伝統重視で礼儀正しくしても、今ちょんまげしていたらふざけているとしか思われないでしょう?

「人の話は黙って聞きましょう」だって、「くだらない話でも聞かないといけない」義務って何なの?とか、その前に「自分の話の腕を磨いてくるべき」マナーはどこ?と言いたくもなります。笑

 

価値観が分かれるからこそ、考えを出し合って、議論することが大切なのです。

グローバル化やテクノロジーによる変化の時代は特にそうです。

多様な価値観を寄せ合うからこそ、面倒だけど、一方で各自が尊重されるし、全体のために新しい価値・より良い考え方が生まれるメリットもあります。

 

なんでもルール化して全員に強要してしまったら、せっかくの発言や議論の機会をつぶすことになります。

なんでもルール化で得るもの「従う力」、失うもの「考える力」

ルール化も良し悪しです。得るものもあります。

得るもの:従う力、忖度力、理不尽への忍耐力、など。

それとも、盾ついて損するより、黙ってやり過ごしたほうが得、という文化なのでしょうか。

必ずしも悪いことばかりではないと思うのですが、やはり程度問題です。

やりすぎると「みんなで沈んでいく歴史」を繰り返します。笑

 

ルール化して失うものはやはり大きいと思います。

ルール化によって失うもの:自分で考えて、発言する力

考える力こそが今の学校で得るべき最も大切なことなのに、過剰なルール化は考える力を奪い、同調圧力は発言する意欲を奪います。

 

なんでも従うのは協調性ではなく隷属です。隷属は面従腹背を生みます。

「文句があるなら表で言え」と脅すのではなく、「発言により自分と周りを改善する」文化を作っていきませんか。

 

真の協働する力とは、衝突を避けると同時に、ぶつかりながらもより良いものを作っていく行為だろうと思います。

黙ってルールを守る日本のローカルルールでは通用しないことは明らかです。

当初従ったこと=自己化して固定化。変化=自己否定となり、成長が止まる

ルール化にはある種の中毒性があるのかなとも勘繰りたくなります。

作ったらみんな従うから作る方は万能感が湧くし、従う方もそれさえやっていればなんか落ち着くみたいな。

典型的な指示待ち人間の出来上がりです。江戸時代の殿様と村人?

 

従う側にしても、本当にただ従うだけならまだよい(よくないけど)のです。

ただ、人間は年を取ると頑固になって、昔従ったことがいつしか自己化してしまいます。

そうすると、時代の変化に合わせて自分が変わることが必要になった時、つらい想いをすることになります。

 

自分で考えて判断してきていない人にとっては「変化=これまでの人生を否定すること」なのですから。

それとて、その人の価値観に沿った生き方なので余計なお世話と言えばその通りなのですが…

自分で考えて、自分で判断する

教育には、押し付けや洗脳がある程度は含まれるのも事実です。

すべてを相対化するとニヒリズムになってしまうので、ある程度の価値教育が必要となって、それはある種の洗脳でもあります。

但し、それはスタート地点としてやむを得ずであって、ルールだから当然だろうと押し付けるとは違います。

 

ルールは社会参画において、とても大切なこと。

だからこそ、深く学ばなくてはいけない。

「一方的に従う」ことを強いられることは思考を奪います、そして、そんな権利は誰にもないはずなのです。

ルール策定への民主的な参画、ルールを変えることの是非・手続きなど、を深い学びの機会としたいものです。

 

 

子どもたちには「自分の人生は自分で考えて生きてほしい」と思っています。

それが、変化の激しい時代に翻弄されない生き方ではないでしょうか?

 

そのために大人ができることは何か?

自分で考える機会を増やすのは大きなサポートになります。

HILLOCKのシェルパ(スタッフ)は、こんな具合にルール一つでも子どもに与える影響を考えて議論するのです。

ちょっと面倒くさい?笑

でも、こういう日々の議論がクラス運営にも反映されます。そのはずw

 

(アイコンは Pink Floyd の Another brick in the wall より)

 

ということで、今回は

・ルール、価値観、マナー、損得、は分けて考えよう

・ルールは少なく、対話は多く

・自分で考えて自分で決める人生をサポートする。そのために大人ができること。

という私の価値観を押し付ける投稿となりました(←これがオチですw)

 

 

少しでも参考になればハッピーです!

 

<堺谷武志の略歴>

大阪出身、京都大学工学部、南カリフォルニア大学MBA、三菱UFJ銀行(海外駐在やアジア戦略担当)を経て独立。2006年インターナショナルな環境で人と自然にふれあうプリスクール「キッズアイランド」設立。保育士。一女の父。週末登山家。

2019年教育起業家とともにNPO法人ソダチバ・プロジェクトを設立し、代表理事に就任。幼稚園でもインターでもない第三の選択肢「HILLOCK Kinder School」を設立。2022年4月「ヒロック・オルタナティブ小学校」を設立します!
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