学びを取り巻く環境~学び論(1)


LCL研修発表「自由・遊び・学び」スライドから、今回は「学び」についてのスライドです。

 

もともとは潜在的な部分で「自由や遊びって学びになりうるでしょ」「なのに、なぜ前者は楽しく、後者はそうでもないのか」みたいなことを思っていたのだと思います。

グループメンバーは3名が小学校教員、1名が民間教育の運営者と、教育に関わるものですので、学びの効用は深く理解しているつもりです。

その上で、どうしても気になる「学校における学びの抑圧的な側面」を緩和できないか、そのような意識で学びについてディスカッションしました。

上記スライドの左上部分をチャート化したのが、次のスライドの左部分です。

まず左下の部分から少し説明をします。

学校ではルールが多すぎやしないか?

日々の行動で「やらないといけないこと」「やってはいけないこと」のやたらルールが多くないか?という話になりました。

  • ルールが多く、そのルールは教師が決めることが多い
  • 子どもが何も考えなくてよいようになっている。主体的な学びにつながらないのでは?
  • 一部はルールというより「価値観」や「マナー」に属するもので、多様であったりするのに一律的にルール化はいかがなものか
  • むしろ、対話によって学びとなりうるような機会を奪っていないか
  • 「グーピタピン」は本当に必要で、子どものためになっているのか
  • ルールのうちのいくつかは、大人が「非難されたくないから」という理由からのものもあるのではないか
  • ルールは増えることはあっても、見直される機会は少なく、結果としてどんどんルールが増える傾向にあるのではないか

かなり辛口な意見が出ました。

 

イリッチの「脱学校の社会」に、学校には「隠れたカリキュラム(Hidden Curriculum)」があるという話があります。

例えば、教科の科目数で重要度がわかる、教員の男女別役職を社会的ポジショニングが伝わる、などです。

隠れたカリキュラムの観点から言えば「ルールは偉い人が作るんだよ」「逆らわない方が無難だよ」というメッセージになっているかもしれません。

先読みすれば、これが「素直な組織人の育成」につながるとともに「意欲や好奇心の低下」「批判精神の減退」「指示待ち人間の増加」につながりうると考えるのはうがった見方でしょうか?

学校以外の環境変化も大きい

一方で、学びは学校だけで成立するものではなく、暮らし(家庭や地域)を含めたものであって、社会の変化の影響がより大きいかも知れません。

  • 明治期:江戸時代は児童労働全盛でしたので、明治になって学校に行くことは(農作業をさぼって)「遊びに行かせること」でした。国の思惑とは別に、子どもにしてみたら「仕事をさぼれる」「友達とも会える」と「自由の象徴」だったとも言えるのではないでしょうか。
  • 昭和期:現在の学校の枠組みは約120年前のドイツの「学年別・教科別・時間割」を取り入れたものだそうで、世界的に「富国強兵」策がベースになっているとも言えます。その上、人口増加期で、とにかく効率化が必要な時期だったと思います。管理をせざるを得ない、それへの生徒の反抗、を経て、管理が管理を生む時代。それでも、放課後は自由でした。
  • 現在:効率化・合理化の波は子どもの放課後にまで押し寄せてきている時代かと思います。

「今や放課後にも自由や遊びがない」→「でも、子どもにはやっぱり遊びや自由は必要だ(自由を扱うことで人は自立していく)」→「だったら、学校の中にもっと自由・遊びを取り入れるべきではないか」と考えます。

繰り返しになりますが、「学び=家庭+学校+地域社会」で成り立つものです。

特に、家庭や地域社会、さらに世界情勢なども踏まえて学びを大きく捉えなおし、その中での学校内での時間配分も見直していく必要があるのではないかなと考える次第です。

 

まあ、シンプルに言うと「楽しい子ども時代を過ごしてほしいな、それは一生の財産になるから」「その環境づくりは大人の責任ですね」ということなのですが。

 

<堺谷武志の略歴>

大阪出身、京都大学工学部、南カリフォルニア大学MBA、三菱UFJ銀行(海外駐在やアジア戦略担当)を経て独立。2006年インターナショナルな環境で人と自然にふれあうプリスクール「キッズアイランド」設立。保育士。一女の父。週末登山家。

2019年教育起業家とともにNPO法人ソダチバ・プロジェクトを設立し、代表理事に就任。幼稚園でもインターでもない第三の選択肢「HILLOCK Kinder School」を設立。将来は「ヒロック・オルタナティブ小学校」を設立たいなぁと活動中です。
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