教育全般:多様性のデメリットを越えて


この本は大前研一さん含め4名が寄稿していて、それぞれに面白かったが、多様性を論じた日産の話が面白かった。

多様性のデメリットを越えて

日産のダイバーシティマネジメントの責任者の説明で紹介されていた2つの図表

結論とそれへの所感から言うと、

(1)同質性が高いと、パフォーマンスは真ん中に集中し、平均点も高くなる(粒がそろう)

(2)多様性が増えると、すごいものがたまにできる一方、どうしようもないものが増えて、平均点は下がる

これを見ると、私個人の感覚ですが、笑ってしまうほど『(1)=日本人』が当てはまります。

 

日本の成長期には、この平均点の高さで第二次産業での地位にたどり着いたのかと思えます。

今は、テクノロジーベースのサービス産業化、かつ、一部の企業が総取りをするので、「平均点が高いだけでは勝てない」時代になっているのだろうと。

 

GoogleやAmazonなどの企業は「様々な専門性・国籍」かつ「チームでパフォーマンスを挙げられるタイプの人」を集める(あるいは前者を集めて、チームプレーの達人と組ませる)のでしょうね。

 

詳細は載っていなかったのだが、「同一国籍チーム」と「二か国以上のチーム」では、
パフォーマンスの両端が「二か国以上」となって、真ん中に「同一国籍」が集まるというもの。

直観ではみんなが思っていることを「よくぞ研究で出してくれました!」と言う内容。

で、多分ですが、日本の戦後教育は生活指導を通した「均一化」に優れていて、それが時代とマッチしたので伸びた。同時に今は、多様化がないためにイノベーションが起きない、あるいは、イノベーションを起こすような人は出世しなくなった、という仮説が成り立ちます。

 

 

2つ目は、専門分野における「一つの規範」対「複数の規範」で比べた図表。

イノベーション3件に比べて、悲惨な失敗が山ほどあって、かつ、平均点も下がっていく。

日本人はこんな世界に果たして耐えられるのだろうか?

 

と言っても、時代はいやおうなく「グローバル化(特に今後は馴染みのないインド、イスラム、アフリカとの付き合いも広がる)」とテクノロジーの時代。それに少子化がかぶさってくる…

 

未来の子どもたちが「生き抜く」という文脈で実装すべきは、「強い専門性」+「多様性の中で協働する力」となるでしょう。

 

Googleやアマゾンなどでも活躍しているインド人の強みはそんなところにあるのでしょう?

インド人は「よくしゃべる人は頭のいい人」と考えていると聞いたことがありますが、実際よくしゃべる人が多いです。映画も時間が長いw。

時にうんざりするくらいしゃべるのですが、しゃべると同時によく聞きます、少なくとも何を考えているかはシェアしやすい人たちです。

 

インド系がSTEM系(特にテクノロジー)に強いのは有名です。「テクノロジー」+「ベシャリ」力で、彼らが、グローバルBIG5で活躍するのも当然なのでしょう。

 

同書では、インド工科大学(アメリカのMITを模して作った)の学長の言葉も紹介されています。

「IITでテクノロジーを学び、アメリカでMBAなどのマネジメントを学んで起業する人が多い」

 

世界のトップクラスになろうと思うと、グローバルな文脈で通用する「テクノロジー」×「マネジメント(+英語でたくさんしゃべるw)」を身につける必要があるのでしょうね。

逆に、企業としてはそのような人を引き付けられる企業でないと厳しい。

日本のAIベンチャー・トップの方も、世界の上澄みの学生をめぐってグーグルなどと初任給2500万円とかで引っ張り合いをすると言っていました。

年功序列の老舗企業にはそんなことできないでしょうね。専務クラスの給料?を実績のない新卒に出すわけですから。

 

 

話は変わって、中国の国際化について..

比較の仕方が正しいのかわからないのですが、中国の出国留学生が60万人(2017年)を超えたとのこと。(日本は5万人程度)

日本の大学入学者数自体が年間約60万人。大学進学者の一学年相当分が中国から留学していく。

驚くのが約9割は私費留学だということ。アメリカに留学させると生活費も含めるとかなりのお金(年間300~500万円?)がかかります。

教育については「自己防衛」しているということですね。

いずれにせよ、留学経験のある人数の絶対数が多くて、上位層のグローバルなネットワークは既に日本を凌駕していますね。

 

 

日本はどうなるのでしょうか

日本人の高3の理数系はペーパーテストでは世界トップクラスとの理解ですが、実社会で使える智恵やスキルとリンクしていないかも。

それと、彼らを活かせる高等教育や企業がないのかも。

であれば、留学か起業になるのかな?

 

いずれにせよ、教育を考える時、時に日本の常識を超えて考えていく必要があるでしょう。

多様化で平均点が下がったら日本の良さすらなくなると考えるか、そこを越えてやっていかないとジリ貧だと考えるか?

 

政治や行政は平均点主義で行く(つまり、学校は何も変わらない)でしょうが、各ご家庭は選択していく必要がありそうです。

 

 

 

<堺谷武志の略歴>

大阪出身、京都大学工学部、南カリフォルニア大学MBA、三菱UFJ銀行を経て、キッズアイランド設立。保育士。一女の父。週末登山家。

現在「都会の子どもに『ソダチバ』を!」プロジェクト推進中
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