25つ子のお世話を一人で…


今日は「幼児教育の適正人数ってどれくらい?」というテーマで話をしてみたいと思います。

私たちの運営するHILLOCKキンダースクールは、担任2名(英語1、バイリンガル保育士1)に定員15名です。

7.5人に一人の大人がついています。

担任1人に子ども25人

それでも「今日は大変でした」とかの声があがります。

「まあ、でも、日本の幼稚園は1人で25人くらいみているからね~」

「どうしているんだろうね」

元幼稚園教諭の人もいますから、話を聞いてみると、

「25人もいると、毎日回すだけで精いっぱいです」

「一部の子に手を取られて、ほとんどお話しできない子もいる」

など、大変な日常がうかがわれます。

キッズアイランドやHILLOCKに来たのも、一人ひとりとじっくり向き合いたかったからという理由も多いです。

社会経験・子育て経験なしの20歳女子(男子?)に25つ子を託す

お子さんをお持ちの方はわかると思うのですが、子どもを育てるのはとても手がかかります。

It takes a village to raise a child(一人育てるには村が必要)という格言があるくらいです。

特に、都会の子育てで身よりがなければかなりの負担となります。

これが、双子、三つ子となると想像を絶するくらい大変です。

 

で、考えてみると

「幼稚園って同年齢の子どもが25人いるわけで、いわば『25つ子』状態」なのです。

しかも、場合によったら「短大新卒20歳子育て経験なしの女子(男子でもいいけど)が一人で見る」わけです。

これって、国が決めた制度とは言え、かなり酷な話ではないでしょうか?

見る人にとっても、見られる子どもにとっても。

 

その上、一部の保護者は要求します。

もっと一人ひとりの性格を踏まえて適切な指導をしてほしい!」と。

ひぇ~(笑)

それでも仕組みは変わりません(涙)

家庭と幼稚園の間に地域社会があったころはそれでよかった

かと言って、幼稚園・保育園に行かないという選択肢はあまりないでしょう。

私は、日本の初等教育は制約の中でマス教育としてはよくできていると思います。

日本で1970年代までに幼児教育がほとんどの人に行きわたったことが、その後の日本の発展を支えたと考えています。特に工業社会にはぴったり。

 

なぜ25人クラスがいま問題かと言うと、やはり地域社会(village)の弱体化だと思います。

昔は、家族は「4人」でベッタリ、幼稚園は「25人」でサクサクっと…

放課後は自由!そして「近所のおばちゃん・おっさん軍団」が何かと気に掛けてくれる

この軍団は5~10名でちょうどよいサイズで、お世話を焼いてくれたからです。

ある意味、教育的観点などなく、生身の人間として接してくれる。

私も年長時、カメを取りに行って池に落ちて、近所のおっちゃんに助けてもらったことがある。笑

 

子どもにしても、様々な大人を見ることで「人を見る目」を養う訓練になりました。

「このおばちゃんは優しい。ある意味、ちょろい」とか

「あのおっさんはややこしい。逃げるに限る」とか。笑

面白いのは、子どもに一番人気があるのは大人には頼りないとか言われているおっちゃんだったりするところ。

いわゆる「できるおっさん」は偉そうで怖い…あとおもしろくない。笑

地域コミュニティ弱体化の今、どうするか?

ただ、時代が変わってしまいました。

場合によっては「接する大人は、親か幼稚園・学校の教員くらい」になることもあって、子どもが触れ合う大人像が限られてきます。

では、どうするか?

コミュニティの再構築が理想ですが、結構ハードルが高かったりします。

 

本当は幼稚園自体が「小サイズ化&生身化」するべきだと思います。

私から言わせると、幼児25人を一人で見る制度設計は「発展途上国」のモデル

他の先進国、特に富裕層はもっと豊かで丁寧な教育を受けています。

 

おそらく100人に「あなた、25人クラスを一人ひとり丁寧にみることができませんよね?」とか

「ちょっと多すぎると思いませんか?」とかアンケートを取ったら、多くが「その通り」と言うと思います。

本当は多くの幼児教育専門家が言っていたように「無償化よりも、質の向上に充てるべきだった」と私も思います。

変わらないのは大人の事情なのです(自民党は無償化の方が票が取れると踏んだ、とか)

子どもは声をあげられない

無償になったことで、さらに大人が考える機会が減ったかもしれません。

無料(タダ)って思考を停止させますね。

現状ではなかなか妙案はありませんが、それでも大人は考え続けないといけません。

子どもは「幼稚園制度を改革すべきだ」とか、声を上げられませんから。

 

また、最近は色々な動きがあります。

HILLOCKもそうですがインター系のスクール、森の幼稚園、自主保育など、選択肢も増えてきています。

同時にそれぞれにも課題があります。

結果として幼稚園に行くのは全然かまわないのですが、流れではなく立ち止まって検討することはとても大切だと思います。

 

最後になりましたが、実際に幼稚園で日々苦労されている現場の方、自分のせいではなく制度のせいなのに否定されるような不快な話に聞こえたかもしれません、お詫びいたします。

ともによりよい教育環境実現を目指しましょう。

 

本日は、

・日本の幼稚園の学級サイズは大きすぎる

・地域社会の弱体化は子どもへのマイナス影響

・子どもは声を上げられない

という話をしました。

 

少しでも参考になればハッピーです!

 

<堺谷武志の略歴>

大阪出身、京都大学工学部、南カリフォルニア大学MBA、三菱UFJ銀行(海外駐在やアジア戦略担当)を経て独立。2006年インターナショナルな環境で人と自然にふれあうプリスクール「キッズアイランド」設立。保育士。一女の父。東洋拳法二段、京都伝説のアマバン「コンプレックス」のボーカル。週末登山家(最近へたれ気味)。

2019年教育起業家とともにNPO法人ソダチバ・プロジェクトを設立し、代表理事に就任。幼稚園でもインターでもない第三の選択肢「HILLOCK Kinder School」を設立。2022年4月「ヒロック・オルタナティブ小学校」を設立します!
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