思うこと:高速から落ち、大学からも落ちかけた話(in アメリカ)
ずいぶん前になりますが、会社からの派遣留学時代に2つの忘れられないエピソードがありました。
一つ目は、台湾からの留学生と二人で研究旅行に自動車で出かけたときのことです。ロサンゼルスからサンフランシスコまで、私の中古車ではるばる運転して出かけました。
高速道路から落ちちゃった
友人が運転している番でした。スリップしてグルグル回りながら、高速道路から落ちてしまいました。
皆さん、高速道路から落ちたことありますか?
私の周りで、今まで一人も落ちた人はいません。もちろん私にとっても最初で最後の経験です(笑)
と言っても、橋桁のようなものではなく、田舎にある盛り土式の高速道路です。
幸運にも、落ちどころが良かった?というか、上手く落ちたので二人にケガはありませんでした。
窓が開いていたので、牧草のようなモノが大量に入ってきて、車内がワラだらけになりました。
真っ白の眼鏡をかけた友達がハンドルを握ったまま呆然としていて、香港映画のワンシーンのようだなと心の中でニヤリ。
彼は「I nodded.」とか言っています。
「nod? うなずいて、事故になるワケがないやろ」と思ったら、「ウトウトした」という身振りをします。
「へえ~、nodにはそんな意味があるんだ」
人間って、そんな状況でも、感心したり、ニヤリとしたりするものなのです。
それにしても、高さにして2メートルくらいの段差があり、現場の前後には標識の支柱などもあって、振り返るとかなり危ない事故でした。
落ちたところは、大きな牧場の隣でした。
それなりに大きな事故だったので、他の自動車が停車して声をかけてくれたりしました。
そのうちに、警察官が来て、牧場主のおじいさんも来ました。
みんな「無事でよかったな」とか言ってくれている中、牧場主がどうも怒っています。
話を聞いてみると、
「おまえらの車のせいで柵が壊れた。弁償しろ。牛が逃げたらどうする。補償しろ」とか言っているようです(英語が正確には聞き取れませんでしたが)
「オレらの命はウシ以下か?」
心の中でツッコミを入れましたが、彼の言い分もわからないでもないので、「どうしよう」と困っていたところ、
警察官から「お前たちはもういいから、向こうへ行け」と言われたのです。
なかば難を逃れるような形で少し離れた場所に移動しました。
その後、その警官は何をしたと思いますか?
さすがはヒーローの国!
なんと帽子と上着のボタンをはずして、自分で柵の杭を打ったりと修理しだしたのです。
牧場主が色々言ってきても「まあ、そう言うな」とか、いなしているようです。
牧場主も、最後にはあきらめていってしまいました。
警官は柵を直すと、身なりを整えて、
「じゃあ、気をつけて運転してね~」的なことを言って、クールに去っていきました。
で、直し方がかなり雑(笑)
ちょっとチャラい感じの若いお兄ちゃんでしたが、
「さすがヒーローの国、アメリカやなぁ。かっこええ~」と思いましたね。
余談ですが、事故の後、クラスに行くと台湾系の学生の間でこの話が広まっていまして、そこでなぜか私自身がヒーローのような扱いを受けました。
理由を聞いてみると、事故当時に助手席にいた私が、起き上がるなり静かに「Are you OK?」と言ったからだそうです。
自分が死んでいたかもしれない状況で、冷静に相手のことを気遣えるなんて、「ヤツは大物だ」という話になっていたとのこと。
ただ、私の方のヒーロー疑惑はすぐに解けました。
実際には「単に寝てただけ。そんな大事故とは思っていなかったから」と白状してしまいましたので(笑)
えっ、僕って卒業できないの?
2つ目のエピソード。
そろそろ卒業だなという時期、肝を冷やした場面がありました。私にだけ卒業案内のようなものが来ないのです。
アドミニ・オフィスに行ったところ、
「卒業すると申告しないと、単位はそろっていても自動的に卒業とはならない」
「そして、その申告の締め切りは過ぎている」と言われました。
「リァリィ~?」
そのようなお知らせはあったのでしょう。私だけが、見過ごしただけなのでしょう。
でも、日本だったら、たぶん誰かがどこかのタイミングで「もう申請した?」とか聞いてくれたんじゃないかなぁと思いました。
私が留学で学んだ最も大きな教訓は以下です。
「アメリカにはお節介者はいない」
「自分のことは自分で責任をもってするべきだ」
アメリカは関係ないし、いい年をして、まるで子どもみたいな教訓で恥ずかしいのですが(笑)
その後の顛末ですが、アドミニ担当者に「企業派遣なんです。卒業できなかったらクビとか、大変なことになってしまう」と必死で頼み込んだところ、彼は関係者を駆けずり回ってくれました。
彼は実際のところ、そうする必要はありませんでした。
「期限が過ぎている」と言えばそれで済む話ですし、実際そうする担当者もいたでしょう。
そしてまた、できちゃうところが、アメリカというかカリフォルニア的な緩さです。
「オッケー、卒業できるように手続きができそうだ。」
「ただし、卒業式のパンフレットは印刷してしまっているから、君の名前は載らないけど大丈夫か?」(ここで、海外ドラマでありがちなウインク)
この何ともお仕着せがましくない軽~い感じがいいですよね。
「オオ~、セェ~ンキュウ~!」心の底からお礼を言いました(語彙が少なすぎて哀しい… 笑)
そんなかんなで、卒業式にも参加できて、無事に卒業証書も受理しました。
彼の予告通り、卒業式のパンフレットに名前はありませんでしたが(笑)
カリフォルニア独特?の仕組みの緩さと彼の個人的な親切心、感謝です。
困った人がいたら、自分の判断で動く
この警察官にしても、アドミニ担当者にしても、いずれの場合も、マニュアルに載ってそうな状況ではありません。
日本だったら「本部と相談します」とか「持ち帰ります」と言いかねない状況で、その場で自分の判断で動く。
また、そういうシステムになっているのだと思います。
それだけ現場に任されていて、ある判断をした場合でも、それに伴うリスクを取らなくてよいのだと思います。
一方で、このやり方は担当者の裁量が大きいため、心の狭い担当者にあたってしまったら、悲惨な目にあいます。
また、汚職の温床ともなりかねません。
やはり、どっちの方がいいとは一概に言えませんね。
うーん、あの警官やアドミニの青年を日本の大会社とかに入れたら、
次第に周りに意見を聞いたりするように変わっていくのかな、
それとも、やっぱり最後まで自分の判断で親切にするのかな、
逆に日本人が…、など色々と考え込んでしまいました。
結論:
言葉もままならない中、追い込まれた状況で触れた個としての親切心。本当に救われました。
彼らに直接その恩は返せないので、順番こで誰かに返さなければ!
「親切持ち回り論」とでも言いましょうか、
人が本当に困っていたら、周りの状況に関係なく、本気の親切をさりげなくできる人間でありたいと思います。
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