思うこと:自分が受け入れらていると感じられる場の大切さ
リトルリーグとの出会い
小学6年生の8月リトルリーグを卒団しました。
当時野球ブームもあったのですが、このリトルリーグは200人くらいいて、入団試験がかなりの倍率でした。
何しろ、3年生から6年生で6軍までありました。
私の小学生の夢は、左利きでもあったことから「王選手になること」でした。
練習はハードで、監督・コーチはとても厳しかったです。家でも毎日それなりに素振りとかシャドウピッチングとかしました。
でも、周りにはナチュラルにひたすら上手い人、あるいは、とてもつもない努力をする人がいるのです。
才能がなくても、努力をすれば何でもかなう、みたいな話を子どもながらに耳にするのですが、
「努力できることも才能。僕には努力の才能がない」と自分の心の弱さを正当化しました。
6年生の頃は、1軍の補欠か、2軍のピッチャー(ストライク入らないけどw)というのが私のポジションでした。
あまり目立たない選手で、唯一注目を浴びたのが顔面にボール(硬球です)が当たった時のことです。
翌週に行ったら、みんなが言いました
「おー、ホンマにマンガみたいに目の周りが黒くなるんや」と(笑)
王選手にはなれない
いずれにしても、早くも6年生にして「王選手にはなれないこと」に気づいてしまったのです。
夢破れる。すごい残念。
ほとんどがシニアリーグに行くのですが、リトル卒団を機に私は野球はここまでにしようと思いました。
自分なりにやり切ったと。
その後、このシニアリーグの同学年は関西大会で優勝するくらいのチームになり、有力選手は甲子園出場校に行ったりしました。強かったのです。
同級生が、後にプロ野球選手になったことを知りました(阪神の湯舟投手)。
約50年の歴史でプロは3名のようで、プロ野球選手になるというのは改めて厳しい世界だと思います。
リトルリーグで野球の夢は破れましたが、私には二つの今でも大切にしている言葉が心に残りました。
「僕たち、リトルリーグの選手は、団結、友愛、規律、勇気、忍耐を身につけます」(いつも練習前に唱える)
この5つの徳目、なんか男の子にとって大切なものが凝縮されていて大好きな言葉です。
もう一つは会長の言葉でした。
「自分のことをまずやって、できたら人の世話をしろ。自分のことができてないのに周りに手を出すのはお節介だ」
学校では「人に親切にしなさい」としか言われないのに、子ども心になるほどと思ったものです。
少しニュアンスは違いますが、大人になって出会うEric Claptonがカバーしていた「Before you accuse me, take a look at yourself.」。
あるいは、聖書にある「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」という言葉。
これは、会長の「人のことを言う前に、自分のことをまずちゃんとしろ」という考え方かなぁとリンクしたものです。
やっていることは泥臭い日本の少年野球でしたが、これらの言葉に漂う合理的な香りはリトルリーグがアメリカ発祥だからでしょうかね。
ちなみにこの会長はHPを見たらまだ会長をされているようです。
40年以上ずっと中小企業を経営しながら(時代の変化が大きい中これだけでも大変)、少年の育成に関わられているとは頭が下がります。
今の時代の「名刺を二枚持つ」の先駆者のような方。
何より、厳しいけど愛情と威厳があって、尊敬できるいい大人でした。
リトルリーグには感謝していて、学校で仲間外れをされて居場所を失っていても、野球の仲間は別のコミュニティです。
厳しいけど、ともにボールを追う仲間として、さっぱりとした友情が持てます。
コーチも厳しいですが、愛情もありました。
「ここでは自分は受け入れられている」そんな感じがしました。
学校の他にコミュニティーを持てたことは「教室だけが全てじゃない」と感じられてよかったと思います。
その後もなんとなく「他にも道があるんじゃないかな~」と考えることにつながったような気がします。
テラヤンとの出会い
夢破れてリトルを止めた私は急に暇になりました。
友達が塾に通っているのを聞いた私は「ボクも行きた~い!」
暇になるとろくなことをしないと親も思っていたので、意外にあっさりオッケーが出ました。
田舎でしたので、そもそも他にどんな塾があるのかもしりませんでしたし、塾というものが初体験。
6年生は私を入れて3人でした。つまり全員が学校でも塾でも仲良しの3人組(笑)
この小さなチェーン塾は「テラヤン(寺モト先生)」がほぼ一人でやっていました。
テラヤンは、ブルース・リーの物まねが天才的にうまくて、お笑いセンスが抜群。
毎回塾に行く度に「センセエ~、ブルース・リーの真似、やって~!」と言うと、
「こら、やってください、と言え!」
「じゃあ、やってください」と僕らもいいます。
すると、
「これは『燃えよドラゴン』の時な」とか
「ほれ、これが『ドラゴンへの道』」とか言いながら真似してくれます(笑)
ひとしきり物まねが終わったら「アカン遊び過ぎた、勉強するぞ~」というので、僕たちも「おーっ!」と集中して勉強します。
それまで、学校や教師への不信の大きかった私は、「テラヤンは味方や」と思いました。
勉強も刺激的で、一所懸命しました。学校の100倍くらい面白かった。とにかく楽しかった。
しばらくした頃、友達が受験をすると言います。
「受験って何?」となって。
「地元の中学と違うところに行く。そのために試験を受ける」と言います。
親に「僕も受験する~」と親に言ったのが秋か冬かと思います。
「あれは金持ちが行くとこ」と一蹴されて、本当にガッカリしました。
受からんところやったら受けてもいい by ウチの親
私があまりにガッカリし続けるので、過保護の親が見かねて言いました。
「受けるだけやったらエエよ。受からんとこやったら受けてもエエ。受かっても行かせられへんから」
「やったー」(笑)
なぜ受からんところやったら受けていいと言うのか、それを聞いてなぜ「やったー」というのか変な話ですが、当時の堺谷家ではよくあったことです。
後で聞いたのですが、それでも母は、テラヤンにこっそり相談に行ったみたいです。
「ウチの子、どうですか?内申のあるところはダメです。担任に嫌われているから。」
「あと、受からんような難しい学校がいいです」(なんちゅう条件)
寺ヤン「4教科は無理でしょ。2教科のとこでしょうね。内申がなくて難しいところ」
「そうすると、〇〇しかないですね。大阪で一番難しいですよ」
「下手したら通るかもしれませんけど(笑)」
私の知らないところで、こんなふざけた作戦会議がなされていたとは!
そこで立てた対策が…
「国語は捨てます。漢字だけ家でやってください。塾では算数だけ対策します」
算数対策の教材は、ほぼ学校の教科書のみ。
「この小6の教科書、どんどん進むぞ~!」「お~!」
冬休みくらいに終わったら、今度は、
「中1の教科書やるぞ~!」「お~!」
で、目的はx、yで解く一次方程式だったようです。
過去問は解かんでいい by テラヤン
「植木算とか鶴亀算とかいうのがあるけど、わかるかぁ?わからんなぁ。忘れろ。
難しい問題が出たら、xとyで解けぇ。せやけど、xとyは絶対に答案に書いたらアカンぞ。〇と□や」
まあ、反則ですね。
「世の中には、過去問っちゅうのがあるけど、やるなぁ。やったら自信を失うから」(笑)
まあ、無茶苦茶ですね。
家で、ああは言うけどさすがに一回くらい解いた方がいいのでは、ということになり、解きました。
予告通り、しっかり自信を失いましたw
「テラヤンの言う通りや~」
ウソみたいですが、受かりました。当時の大阪はのんびりしたのでしょう。二教科でしたし。
(今でもそうですが、大阪は公立高校がとても強いので、私学の一貫校に行くこと自体が珍しかった時代でもありました)
友だち二人も違う私立に受かって、合格率100%の名門塾が田舎に突如出現したわけです!
勢いに乗ったテラヤンは、その後調子に乗って独立して、塾を立ち上げました。
その名も「寺子屋」。テラモトなのでテラゴヤ。超単純で小学生ながら大受けしました(笑)
地元では大繁盛の塾になったと後に聞きました(笑)さすが、テラヤン!
大学生になってから一度だけ遊びに行きました。
「お~、久しぶりやのぉ」と少しおっちゃんになっていたけど、相変わらずで嬉しかったです。
テラヤンとの出会い、そして、それを振り返って今感じること。
「大人にも子どもの味方がいること(他の大人はみんな偉そう)」⇒(教え手と学び手の関係性)
「やりたいことをやったら、勉強はとても面白いこと」⇒(学びのモチベーション)
「自分のペースでどんどん進めるっていいな」⇒(学びの個別化)
多少、後付けの面もありますが、テラヤンと出会って「学びって悪くないな」と思えている今があります。
塾なのでそうなった、少人数だからできた、とか色々とあると思います。
ただ、「こんな感じのリラックスした学びの場」があればなと思ったとは思います。
さてさて、話は私の合格体験記に戻って、
受からないと思っていた私が受かってしまった堺谷家、ちょっとした騒ぎになりました。
そこで一生忘れられない両親からのセリフ。
「お父さんとお母さんはな、金持ちやないから…」
話が長くなりそうですので、続きは次回をお楽しみに!
<堺谷武志の略歴>
大阪出身、京都大学工学部、南カリフォルニア大学MBA、三菱UFJ銀行を経て、キッズアイランド設立。保育士。一女の父。週末登山家。
現在「都会の子どもに『ソダチバ』を!」プロジェクト推進中
(プロフィール詳細はこちら)
著者・堺谷武志が運営するプリスクールは「キッズアイランド」はこちら
著者・堺谷武志の個人Facebookページはこちら
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