だからアメリカの理系にはスーパースターが生まれるんだろうな


キッズアイランドのアフタースクールクラスでは、アメリカの小学生が使っている理科の教科書を使用します。

教科書というより、百科辞典のようです。

この教科書、分厚すぎるくらい分厚くて、カラフルでキレイなんです。

大学で落ちこぼれたとはいえ、元理系人間だった私は目がキラキラしてしまいます。

日本と制度が違うので何とも言えませんが、一例としてはこんな感じです。小学2年生の教科書。

学年ごとに何度も「生物」「物理」「環境」のようなテーマが繰り返され、学年が上がるごとに内容が高度化していきます。

そして、内容的には小学5年生でDNAとか出てきたり、かなりレベルが高いです。

 

それと日本と異なり、貸出しで対応しているようです(最初の見開きに「何年に誰が使って、返却した」といった表があります)

 

ここから先は私の推定です。

小2の教科書で400ページあります。

どうやってクラスを進めているのかはわかりませんが、教師がいくつかのテーマをピックアップして進めるのでしょう。

教科書の構成を見る限り、アクティビティやディスカッションも含まれています。

ただ、おそらく、ほとんどの子どもは全てを読むわけではないと思います。分厚すぎますから。

その代り、10人に一人か、100人に一人、本当に興味がある子はとことん深堀りできるようになっています。

各章のまとめの部分には、さらに勉強した人用のネット情報まで掲載されています

 

とことん興味を持った子どもは、好奇心を満たすために、先生に聞く、ネットで調べる、どんどん進んで、飛び級する、といった流れになるのかなと感じました。

そして、才能は大きく花開き、スーパースターが生まれるのでしょうか。

 

その裏で、いわゆる落ちこぼれもそれなりの数がでるでしょう。

一方で、学年が上がっても、同じテーマが高度になった状態で繰り返されることも多いのです。

ですので、2年生の時に興味がなかったとしても、5年生で興味が出てくればキャッチアップ可能な枠組みとも言えます。

 

詳しくは知りませんが、日本の教科書はもっと薄いと思います。そして、全員に支給される。

教師はその範囲内で教えて、それを越える指導は推奨されない(すみません、推定です)

そして、限られた範囲の定着をテストで測ることがシステム化されているのではと邪推します。

日本方式:大多数に対して、限定的な範囲の理解を徹底していく(デメリット:上を目指したい子どもは押さえつけられる)

アメリカ方式:大多数の理解は深くないかもしれないが、一部伸びたい子どもにはどこまでも上を目指せる(デメリット:理解していない人がたくさん)

実際にはこんなに単純化できないでしょうし、いずれの方式が正しいかは一概に言い切れませんが、サイエンス系の天才を生み出すには後者の方が適しているのかなと思います。

何より楽しみだった理科の実験の時間

キッズアイランドは、Kinder Classから理科の実験をします。これには私のこだわりが反映されています。

私が小学生時代に何より楽しみにしていた時間が、理科の実験だったからです。

 

男子も盛り上がっていました。

フナの解剖で気持ち悪がる女子に「ぜんぜ~ん(こわくない)」と言えてうれしい、といったくだらない理由も多かったですが。

ただ、とにかく「ワクワクした瞬間」がそこにはありました(私だけ?)。

ワクワク感が理科の命では?

ただ、負担が大きいこともあって、実験は昔に比べて減ったと聞いたこともあります。

実験自体の教育的効果が明確ではない、という冷めた意見も目にしたことがあります。

ただ、(ティーチングではなく)ラーニングという観点からは、理科のモチベーションはこの「ワクワク」にあるはずです。

この「ワクワク」が好奇心を刺激し、知的な深堀りや探求が始まります。

だって、あんなに楽しかったんですよ。実験が失敗したら余計に盛り上がったりして。

 

世界中が理系科目重視の流れです。日本は今後、どういう方向に向かっていくのか気になります。

 

好奇心というのは知識を得るばかりでなく、その過程で人間性も磨いていくものだと思います。

ぜひ好奇心を大切にする理系科目のラーニング方法がどんどん出てきてほしいものです。

PS:

書物やマスコミからは、「日本人はマジメで優秀だ」と思っている人(またはそう思いたい人)が多いような印象を受けます。

が、他の国の人もマジメで優秀な人はたくさんいます。

 

ポイントは、「マジメ」の定義や方向性、「優秀」の評価の仕方なのかなと思います。

 

アメリカの理科の教科書ひとつ取っても浮かび上がってくる、教育とか学びの背景にある思想的なものの違いが見えてきます。

「学年毎に指導内容にキャップをかぶせない」

「上を目指す人には、豊富な情報・知識をどんどん得られる環境を提供する」

「やらない子・できない子もいるだろうけどそれも是とするアメリカ」

 

日本の場合は、学習「指導」要領の名が示す通り、一部の達人教師や先進的な取り組みをしている学校を除いては、

当面は理科も含めて「教科書の範囲の知識をご指導」いただくことになるのでしょうか?

まあ、公教育なので仕方がないかという話になりそうですが、アメリカも公教育ですからね~

お国柄の違いと言えば、そこまでですが…

 

今回は、教科書の分厚さや中身から話を広げ過ぎて、かなり思い込み(+若干の恨み節)をお話ししたかもしれません。

 

でも、本当に言いたいことは1つだけ。

私が子どもだったら、教科書(次の年には見向きもしない)を無償でもらうより、貸出しでいいので中身を充実してもらって

「あんな教科書で、ディスカッションとか実験とかしながら理科を学びたい」と思います。

そして、長期的にはその方がより多くの人が、より深く理科の本質に近づけるような気がするのです。

 

そして現実的には、当面は変わらないという前提で、まずは各家庭で自己防衛をしていくということになるのでしょうね。

民間で少人数制で、ディスカッションしながら学んでいくSTEM教育、どんどんいいものが出ている印象があります。

 

<堺谷武志の略歴>
大阪出身、京都大学工学部、南カリフォルニア大学MBA、三菱UFJ銀行を経て、キッズアイランド設立。保育士。一女の父。
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